*** 『温もり』 ***



「高耶さん、髪がまだ濡れていますよ」

「……うん」

「ほらタオルをかしてごらんなさい。このままだと風邪ひきますよ？」

「わっ！…こら、直江！いいって」




「あなたは、いい匂いがしますね」

「シャワー浴びたから」


「――いえ、そうじゃなくて」



ぎゅっ…。



「どうしたんですか」

「――…おまえこそ、いい匂いがする」



（温かくて、そしてなにより愛しい。オレだけの匂いだ。）



「直江、今夜は―――…」


「―――そんな眼をして、困ったひとだ」


「――愛してくれよ」



オレを。



「後悔しても知りませんよ？」



「おまえだって望んでいる。オレが欲しい、そうだろう？」

「……あなたにはかないませんね」


（―――確信犯だ）



「…ばか」






BACK