*** Happy Valentine day ***


――２月１４日

今日は、バレンタインDAY



「ただいま、高耶さん」

「おかえり、直江」


ジィッ…（高耶に何か言いたそうに、見つめる直江）


「――なんだよ、じろじろ見て」

「いえ…」


「言っとくが、買ってねーぞ」

「高耶さん…」

「大体なぁ、男がチョコ売り場になんて恥ずかしくて行けねーよッ」

（そりゃ買ってやりたいとは思うけど…さ…）



くすくす…。（微笑む直江）



「なおえ？」



「――実は、そう思って買ってきたんです」

「はぁ？！」

「チョコレート、買ってきたんですよ」

「ええッ！おまえが自分でッ！？」


にっこり。（直江お得意の微笑）


「……マジかよ」


「今日、百貨店で高耶さんから買い物を頼まれていたでしょう？」

「…ああ」

「それで、偶然チョコレート売り場を通りがかったんですよ。
　どうやら有名なフランスのチョコのパティシェがちょうど来ているとかで…」

「フランスから？」

「…ええ、デパートの１０周年記念もあって来日したとか」


※※※


「高耶さん見てください、箱にはパティシエのサイン入りですよ」

「わ！ほんとだッ！！」

「高耶さん、食べてくれますよね！」

「……」



（直江、本当に買ってきたのか――…）


あの女性ばかりの人混みの中で、この男が？



プププ…ッ（高耶はおもわず噴き出した）



「…高耶さん、笑わないで下さいよ」

「だって、おまえがチョコ買っているところ想像したらおかしくて…ッ」


（高耶は笑いが止まらない）


「目立っただろう？」

「まぁ、多少は…」


（高耶さんの為にチョコを買う事しか頭になかったから、周囲はどうでもよかったのだが…）←笑


「でも、今日は愛する大切な人にチョコを、想いを伝える日ですから」



（急に、頬を赤らめる高耶）



「その―…、ありがとな」

「ええ」


※※※


二人は、リビングへと進む。

何を思ってか、高耶は突然直江を振り返った。



「…直江」

「はい？」



「ん…ぅ…ッ」

（高耶さんからの突然のキス）



舌を絡め、濃厚な口づけだった。



「高耶さん、嬉しいですよ」

「―…チョコのお礼だよッ」

（自分でキスを求めていながら、まだ頬は上気したままの高耶）

「高耶さんかわいい……」

「うるせーぞッ」



直江は、ギュッと高耶を抱きしめた。



「キスが甘いですね…」

「あ…、さっき味見したから」

「味見？何の？」



ぼそっ。



「―…チョコレートケーキ」

「え！？」


（驚きを隠せない直江）


「その、去年チョコやらなかったから、おまえ落ち込んでいただろう？」

「えぇ、確かに…」

「今年もチョコ買いにはいけないけど、かわりに初めて作ってみたんだ。」



「その…、チョコレートケーキ」



高耶は、恥ずかしいのか、語尾が小さくなる。



「高耶さん…」

（喜びで胸が一杯の直江）

「嬉しいですよｖｖ」



「おまえ甘いもの苦手だから、作るかどうか迷ったんだけど…」

「あなたの作ったものなら、嫌いなものなんてありませんよ」



「残すなよ？」
「もちろん全部食べますよ。喜んで」

「味は保証できねぇけどな、なにせ初めてだからさ」


高耶は、ニィッと上目遣いで直江を見上げて子悪魔的な笑みを見せる。


※※※




「高耶さん、愛しています」





――二人は、もう一度キスをした。

今度は、触れるだけの優しいkissで


Happy Valentine day




END

バレンタイン、ショート話です。直江がチョコ売り場にいる姿を想像すると笑えます（笑）。
デパートのチョコ売り場に、有名なパティシエ来店話は実話です。
購入したら箱にサインをもらえるようです（笑）。【2005,2,14／桜】



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